ピアスやネックレスなどの金属に触れた部分の皮膚がかぶれたり、赤くなる症状がでる金属アレルギー。アクセサリーだけでなく、歯科治療で使われる金属によりアレルギー反応を起こして全身に症状がでてしまうケースも報告されています。
近年、金属アレルギーの方は増加傾向にあり、予備軍も含め日本人の12人に1人が該当すると推測されています。
当院の矯正相談でも金属アレルギーをお持ちの方、または疑いのある方が矯正治療に影響がないか心配されていることも決して珍しいものではありません。
ここでは当院の矯正治療で金属アレルギーの方への対応をお伝えします。
金属アレルギーを起こしやすい素材
ニッケル(Ni)・コバルト(Co)・スズ(Sn)・パラジウム(Pd)・クロム(Cr)・亜鉛(Zn)・鉄(Fe)・銅(Cu)などは金属アレルギーを起こしやすいと言われています。
金属アレルギーを起こしにくい素材
金(Au)・白金(Pt)・チタン(Ti)が挙げられます。
特にチタンは生体適合性(人体に埋め込まれても無毒で、体液に腐食されず、長時間の使用に耐えうる材料の性質)があり、人工関節やデンタルインプラントにもよく使われています。しかし、あくまでもアレルギーが起こりにくいものであり、アレルギー症状が出てしまう可能性がゼロというわけではありません。
矯正治療で主に使用する金属材料と組成
歯科治療で使用する金属は2種類以上の金属を混ぜ合わせた合金がよく使用されています。特に、矯正歯科治療に用いられる金属材料にはアレルギーの原因となりやすいニッケルやクロム等が含まれていますが、矯正装置が原因でアレルギー反応を示す報告は稀です。
一般的に使用される矯正器具に含まれる金属の組成の一例を下記に示します。
ニッケルチタンワイヤー・・・ニッケル(Ni)、チタン(Ti)
ステンレススチールワイヤー・・・クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)
メタルブラケット・・・クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)
バンド・・・クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)
矯正治療で金属アレルギーの方への対応
基本的には金属アレルギーの方にはアレルギーを引き起こしやすい金属の使用を避けることです。
①マウスピース型矯正装置での治療
金属を一切使用しない矯正治療の方法ですので、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けることができます。ただし、マウスピースによる矯正治療は取り外しができるために使用時間を守らないと治療が進まなかったり、適応症が限られて歯並びの状態によっては治療が難しい場合もあります。
➁ワイヤー矯正での治療
ワイヤーで治療する場合にはニッケルやクロムの含まれていないチタン製のワイヤーやセラミック製のブラケットを選びます。しかし、金属を扱う以上100%アレルギー反応が出ないとは言い切れませんので、ご心配な方には器具の装着を始めは少数のみ使用して経過を観察し、問題が無ければ追加で装着しています。
また、明らかに金属アレルギーが疑われて矯正治療に不安がある方は、矯正治療開始前に病院で金属パッチテスト(皮膚に金属を含んだ試薬を貼付してアレルギー反応を起こすかどうかを調べる検査)をうけていただき、傾向を把握したうえで使用する器具を慎重に選びます。
金属アレルギーは、いつでも誰でも発症しうるものです。
お口の中を清潔に保ち、酸性に傾かないようにすることが金属アレルギーの予防にもつながります。
金属アレルギーの疑いがあり、これから矯正治療を受けられる方は矯正器具の選択肢が多い矯正専門のクリニックにまずは相談してみてはいかがでしょうか?
両国の歯医者|I’s歯科・矯正歯科 両国
日付: 2023年9月27日 カテゴリ:トピック