マウスピース矯正とは、金属のワイヤーやブラケットを使わず、透明なマウスピースを使って歯を動かしていく矯正法です。段階ごとに新しいマウスピースを交換して、歯に矯正力をかけていきます。
マウスピース矯正のメリット
①装置が目立たない
マウスピースは、無色透明なため付けていてもほとんど目立ちません。また、自由に取り外しできるため、どうしても外しておきたい場面では短い時間であれば取り外しても問題ありません。
➁手入れしやすい
ワイヤー矯正では、ブラケット周辺に食べかすや磨き残しが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなりがちです。マウスピース矯正では、取り外したマウスピースを毎日洗浄して清潔な状態を保てるので、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。
③痛みや不快感が少ない
ワイヤー矯正よりも弱い力で歯を動かすので、人によってはほとんど痛みを感じないこともあります。また、新しいマウスピースに交換した後は窮屈感や軽い痛みを感じることもありますが、数日で収まることがほとんどです。
④金属アレルギーの方にも対応可能
マウスピース矯正で使用する専用のマウスピースは、医療用のプラスチックでできています。歯に固定させるアタッチメントもプラスチック製のため、メタルフリーで治療を進められます。
マウスピース矯正のデメリット
①適応症例が限られる
研究が進むにつれ適用できる症例は増えてきてはいるものの、マウスピース矯正は抜歯を伴う矯正など歯を動かす量が多い症例を苦手としています。マウスピース型の矯正装置は歯の歯冠部分(歯の見えている部分)のみを覆って歯を動かしていくため、歯の根っこから大きく動かしていく動き(歯体移動)を、苦手としています。
➁必ず1日20時間以上の使用が必要
決められた時間を守って使用できない場合、治療期間が大幅に伸びたり、治療方針を変えざるを得ない場合があります。ワイヤー矯正のように固定されていないマウスピース矯正は、患者さん次第で効果・仕上がりが変わってくる矯正法です。
③歯を削ることが多い
マウスピース矯正は、抜歯矯正も可能ですが苦手です。そのため、「抜歯矯正」を避けて「非抜歯矯正」を行うときに、歯並びの状態や矯正歯科医の治療計画によっては歯を削るという治療方法が多くなってしまうというデメリットがあります。
④矯正歯科医の技量に左右される
マウスピース矯正は気軽にできる反面、的確な診断のもとで使用するかは判断しないといけません。簡単そうに見えますが、矯正歯科医からすると、ワイヤー矯正に比べて圧倒的に難しい治療という位置づけになります。近年、矯正治療を専門とする歯科医師が介入しないようなマウスピース矯正治療も増えてきています。マウスピースを使った矯正治療も他の矯正治療同様、矯正を専門に行う歯科医師に相談されることを強くおすすめします。
※インビザラインは薬機法適応外になります。
アライナーの材料やクリンチェックという診断ソフトウェアは薬事承認を得ていますが、インビザライン完成物は、国内において薬機法未承認の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。