歯列全体にブラケット装置をつける場合、治療期間は平均2〜3年です。
矯正装置をつける期間は、不正咬合の状態などによってケース・バイ・ケースで、決まった期間というのはありません。
では、矯正治療に2年~3年という長い期間が掛かってしまう理由は何でしょう?
それは、歯を動かすスピードに限度があるからです。
矯正治療中は、身体が元々持っている「骨の代謝機能」を利用して歯を動かします。
歯は「歯根」という根っこの部分が歯茎の中の「歯槽骨」とよばれる顎の骨の中にに埋まっています。
歯に矯正力をかけると、この歯根が歯槽骨に押し付けられ炎症反応が起こり、歯根の進もうとする方向の既存の骨が吸収され、反対側は新しい骨が作られます。
このようにして、矯正力を受けている歯根は移動していくのです。
この炎症反応のワンクールが3〜4週間程度であり、成人の場合ワンクールで歯根の動く量はおおよそ0.5㎜~1.0㎜のため、全体的に歯並びを整えるためには相応の時間が掛かってしまうのです。
少ないように感じるかもしれませんが、これくらいスピードだと痛みが強く出たりする事は少ないため、生体に適切なスピードと言えます。
さらに大きな力で歯を動かせば、治療期間も短くなるのでは?と思われるかもしれませんが、大きな力を掛けてしまうと歯根部が耐えられなくなり「歯根吸収」といってダメージを受けてしまいます。
そうならないためにも一定の期間が必要なのです。
矯正治療中に歯の移動が実感しづらい時期というのは、必ずどこかであります。
治療が進んでいないのではないかと、不安になってしまうかもしれません。
ですが、しっかり調整を受けていれば、目に見えない歯根の部分は少しづつ動いているはずです。
焦らずにゆっくり待ってみましょう。
当院では矯正相談を実施しておりますので、一度お問い合わせください。